目覚ましの電子音が・・・俺を眠りから呼び覚ます
目を閉じたまま・・・いつものように手を伸ばす
でも・・・俺の手が届く前に・・・音は消えた


「珪くんを起こしちゃダメでしょ!
もっと静かに鳴りなさい、まったくもぉ」

小声で目覚ましを叱っているの声
俺は・・・薄く開けた目をそのまま閉じ・・・
まだ眠っている振りをする

が俺の部屋に泊まった翌朝は・・必ず目覚ましが怒られる
遅くまで・・・アクセサリを作っていた俺を気づかって
俺を起こさないようにって・・・・そういうことだろう
でも・・・初めてそれを目撃したときは
誰に話しているのか解からなくて驚いた・・・


しばらくすると・・・は俺の髪を触る
そのあとは・・・頬を触る
そして・・・唇にそっと指先を触れると
ベッドから出てゆく

多分・・・
自分のしている「こと」が俺に知れているって事は知らない
だから・・・俺も
がしたいようにさせておく

そして・・・30分
の愛がこもった朝飯が用意されると
俺を呼ぶ大きな声が聞こえる・・・
それまでの間・・・
俺はベッドに残ったの香りに包まれてのんびりと過ごす


こんな風に・・・二人きりの空間を持てるようになったのも
俺がこのマンションへ越してきてから・・・
普通・・・親が居ない一軒家で一人でいて
別に何の不自由も無い・・・そう思うけど
俺の場合は・・・何故かお目付け役のオバサンが横に住んでて
おふくろが渡した鍵で勝手に入ってきてた・・・

時には・・・そう、と愛し合うときでも
ふと覗かれているような・・・
まあ・・それは気のせいだと思うけど

だから俺は・・・モデルのバイトでたまった金で
自分だけのアトリエを借りた
ここは・・・俺との二人の場所・・・



「珪く〜〜〜ん、朝ごはんできたよ〜〜」

キッチンのほうから・・・の声が聞こえてくる
俺は・・・さも今目が覚めましたって顔をして・・・部屋を出る

キッチンで嬉しそうに動いているの背中に
「おはよう・・・」って言って
そのまま・・・顔を洗いに行く






洗面所の窓から入り込む朝日が・・・
と揃いのハブラシを照らす
コップに入った二つのハブラシは・・・が買って来た


俺は・・・グリーンのハブラシで歯を磨き
終わると・・ピンクのハブラシにキスをする
これは・・・には「内緒」の俺の楽しみ


キッチンへ行ったら・・・俺の好きな目玉焼きが焼かれている
目玉は半熟・・・もちろんそう言ってあるけど
たいていの場合・・・火が通り過ぎてる

ブロッコリーとトマトのサラダも・・・いつもの定番
本当はカイワレを食わせたいらしいけど
朝からはさすがに出てこない

スープはコンソメで・・・ベーコンとキャベツが入ってる
これは俺の好きなポトフに似ている
そして・・・・焼きたてのパン


「珪く〜〜ん、パンが冷めちゃうよ〜」
「ん・・・いま行く」

俺は顔を拭いて・・・キッチンへ向かう
こんな日常がこれからも続くんだろう・・・と思う 

他愛の無いことが嬉しかったり
くだらない事で喧嘩したりする

でも・・・・二人はここに居る
ずっと・・・一緒に居る

コップに入った二つのハブラシ
俺はピンクのハブラシを・・・可愛いと思う
多分・・・人が聞いたら笑うだろうけど


そのくらい・・・
俺は、おまえに惚れてる
でもそれも・・・には「内緒」



END

素材提供:「王子の憂鬱」桃田様



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